【5/29】私たちが学んだ歴史学を考える③

古代オリエント史は重要か、が疑問です。四大文明であるエジプト、メソポタミア、インダス、北京くらいは覚えるべきだと思いますが、高校の世界史試験では、西洋の文明に関して、古代オリエント史、つまりメソポタミア文明あたりからたくさん出題されています。確かに非常に活発な変化がありました。シュメール文化ができ、古代バビロニアの時代ではアッカドができて大きくなり、鉄器を作ったヒッタイト、アラム人や、現在紛争の問題となっているシリア付近のフェニキュア人、旧約聖書のヘブライ人と、次々と出てきてアッシリア大帝国ができ、それからリビアとかメディアとか新バビロニアができて、やがてペルシャまで繋がるわけですが、これらを年号を含め詳細に教えられます。しかしこれらも、日本の武家時代と一緒で、エジプトは4000年間、メソポタミアの地域は2000年間くらいゴタゴタしてただけです。シュメール(セム族)や、アーリア人、ペルシャくらい覚えておけば十分な気がします。首都がどこにあるかは、大体、国の中心にあるくらいで十分です。興味があれば深く覚えればいいのです。

オリエントもあり中国もありインドもあったのですが、古代オリエント史の歴史学が発達したのは、アッシリアの、アシュールバニパルという大王が、歴史を全部記入しようということで、粘土に詳細に記述したのです。これが、ある時発見されて、復元に成功しました。それに群がった歴史学者がこぞって詳細に調べ、歴史学者の地位を押し上げてしまい、その結果、世界史の教科書になっているだけなのです。なので、古代オリエント史だけが教科書でより詳細に出てくるわけです。

しかし、この時代に一番大きな変化は、紀元前2000年及び紀元前1200年ころ、2回にわたるアーリア人の大移動があったことです。これは、各戦争の火種はもちろん、リーマンショックや現在の新型コロナ騒動まで続く影響が出ていますので、これは覚えるべきでしょう。歴史は、現代を知るために歴史学があるのですから絶対に覚えるべきです。

もう一つ重要なのは、宗教の発祥です。代表的なのはゾロアスター教です。ゾロアスター教からユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教につながります。

高校生は以下で十分です。
・アーリア人の大移動が2回
・一神教(宗教)の成立
この2つだけでは、試験の点数は獲得できませんが、今のグローバル化が進んだ社会を的確に捉えるためであり、また幸福な人生を営むための必要知識です。教科書に書かれている歴史学者の自己満足による歴史は、大半の子供たちに幸福をもたらしていません。シリアの情勢や中東の情勢、人間はなぜ戦争したのか、難民はなぜ生じているのか等、この2つを理解すれば全て解けると思います。

材料史としては、青銅器時代も重要ですが、鉄器への移行の方がはるかに重要です。私が大好きなオートバイも鉄器ですので、これも覚えておくとよいでしょう。中国は、青銅器時代が著しく短く一気に鉄器を手にしましたので、爆発的膨張をするのですが、いきなり便利なものを手に入れると、それをがんがん使い始めるので、基本的には膨張主義になるわけです。

次回は、アーリア人の大移動を中心に検討したいと思いますが、このことが、日本人の子供たちにとって、大変重要で知っておくべき歴史であることが、ご理解いただけると思います。

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