【8/20】紫式部を考える

現在の日本における男女関係は、特に戦後の女性指導者が歴史を何も知らないで、ヨーロッパ崇拝、白人(アーリア人)崇拝ということで進めた結果、非常に歪み、現在の女性の苦しみにつながっていると考えたくなります。歴史というのは過去ではありますが、我々の精神を形成しており、習慣もそうです。例えば、朝鮮の方々と日本人は、遺伝子が相当ダブっておりまして、そういう意味ではほとんど同じともいえるのですが、かなり行動に相違があります。これは、風土、つまり文化的遺伝子であるミームと言ってもよろしいと思いますが、日本人が日本にずっと住んできた結果、おばあちゃんからの教えなどで日本人が日本文化を形成したと言えます。

ヨーロッパは、女性を男性の所有者とするところから始まります。旧約聖書では、アダムという男の神様のあばら骨からイブである女性の神様(先祖)ができたという想定ですし、また同じ頃、ギリシャのプラトンの著作の中で、女性と子供は男性の共通財産とすべきであると明確に書いてあります。これら以外にも種々あるのですが、女性と男性に大きな差をつけるというのがヨーロッパのミームです。

これに対して、日本は、古事記の時代から女性が上位でした。一番典型的なのは、イザナミとイザナギ(イザナキ)という神様がおられます。日本を作ったといわれる神様ですが、イザナミが女性で、イザナギが男性です。最初は子供を産むのに、女性の神様から男性の神様を誘い、女性主導で性行為して奇形の子供が二人生まれます。これにびっくりしまして、より上位の神様に聞いたら、性行為は男性が主導で行わなかればならないというお達しを受け、今度は、イザナギがイザナミを誘い性行為して生まれたのが天照大神などです。生物学的にも面白い問題で、12億年ほど前に両性生殖が始まったわけですが、ほとんどの動物も男性からアプローチし、メスはそれを拒絶する権限がある構造でした。さらに天照大神は女性で、ほとんどヘマがなかったのですが、弟のスサノオはヘマばかりしました。そのヘマを姉さんが収めるという力を女性の神様に与えています。男のヘマを女性が受け止める構造も、日本文化の一つとも言えます。

邪馬台国の卑弥呼も女性ですし、女性の天皇も平安時代、奈良時代と続きます。平安時代では、文章を書く時には、男性は漢字のみ使用可能で記録を作ることのみに限定しますが、女性は、平仮名でも漢字でもを自由に使うことができ、小説でも何でも書いていいということで、紫式部や清少納言が現れます。日本以外で女性が小説を書くことが許されるのは、紫式部が現れた約700年後のフランスです。そういう意味で日本は特別です。源平の合戦のあたりから男性優位になってきますが、そのころの手記を見ると完全に男女対等でした。

これらの歴史を素直に学ばず、目立ちたがり屋の文化人や学者達が、なぜ欧米の男女関係を主張し、逆に女性が苦しむ社会を形成してしまったのかは、やはり、歴史を先入観なく、じっくり学び、理解されていないからかもしれません。歴史学者もあまりにも詳細すぎて、学校の歴史教科書は正直つまらないし、歴史認識問題などと言いながら、歴史を遠ざけてしまう変な癖のようなものもあって、歴史に対して怖気づいてしまっているのが原因かと考えます。自尊心は歴史によって形成されますので、終戦の月でもありますし、じっくりと歴史を学びながら過ごしたいと思います。

お申し込みはこちら

お問合わせ・お申込み

お問い合わせ